おとめ日記

宝塚について思いのままに

熱かった花組大千秋楽

花組東京宝塚劇場公演『元禄バロックロック』『The Fascination!』千秋楽ライブ配信を観ました。

 

東京公演は1月2日に幕を開けるも一週間足らずで休演になり、1月30日に公演が再開。約5週間を予定していたうち公演できたのは2週間足らず。休演の間生徒さん達はどのような気持ちで過ごしているのかと何度も思いを馳せました。ホテルや寮に缶詰だったのではないだろうか。先行きが見えない中で心身の状態を保てるのだろうかと。

劇場での観劇は出来ず、この配信以前はお正月に放送された『The Fascination!』を観たのみ。なので、休演前後でのパフォーマンスの変化は分かりませんが、影響が全くないはずがないと思っています。それでも、花組生全員で大千秋楽の舞台に立てたことが奇跡に思えますし、多くの人達の努力と祈りにより力強く”復活”した花組を見られて良かったです。

配信で舞台全体の”熱さ”をひしひしと感じて涙が溢れたのは久しぶり。

お芝居・ショーともに愛に溢れたとても温かいものでした。そして、座付の演出家によるオリジナル作品はやっぱり良いなと、改めて宝塚の舞台の素晴らしさを感じた公演でした。

 

『元禄バロックロック』

 

谷貴矢先生、大劇場公演デビューおめでとうございます。

先生の作品は、演出家デビュー作の『アイラブアインシュタイン』を劇場で、他はスカイステージの放送を観ました。どの作品も共通して生徒への愛を感じる当て書きながら、先生独自のファンタジックな世界観が印象に残り、私にはストーリーが難解でした。でも、普段は自ら興味を持ちにくい題材も含めて色んなジャンルの作品を観られるのが宝塚の楽しいところ。

以前、小柳奈穂子先生と上田久美子先生のインタビューを読んだのですが、お二人の幼少期から劇団に入団するに至った経緯や興味のあること等全てバラバラ。お二人の作風が全く異なるのは、作品を並べてみれば一目瞭然。だから宝塚の舞台ってこんなにも面白いし飽きないのだなぁと思いました。そのインタビューで上田先生は、「自分自身は大きい複合ビルの中の個人営業店だと考えている」とお話されています。宝塚歌劇団を”大きい複合ビル”に例えられていて、なるほど〜と思いました。公演数が非常に多い宝塚には複数演出家が在籍されていますが、個性や作風がはっきりと異なる演出家が集い作品を作るからこそ「誰もが行きたいビルになる」。スター達の魅力はもちろん大きいですが、作品がなければスターも生きない。宝塚の演出家さんは皆個性的で面白いしすごいなぁと常日頃思っています。

谷貴矢先生もまたオリジナルな作風を持つ注目の演出家さん。

麗しい”れいまど”コンビ

”新コンビ”のというより、柚香光ちゃんと星風まどかちゃんの、”れいまど”のお披露目にぴったりの内容でした。

貴矢先生らしい奇想天外な舞台設定ではあるのですが、もしかして二人のリアルなお話から着想を得た物語なのかなと思いました。

れいちゃんとまどかちゃんは、実はまどかちゃんがまだ音楽学校生の時に劇団の外で偶然お会いしていたのだとか。まどかちゃんはれいちゃんに憧れていたのでしょうか、一緒の写真をお願いしその写真をずっと大切に持っているそう。でも、れいちゃんはこの出来事を対談で聞くまですっかり忘れていて、あの時のあの子がまどかちゃんだったとは・・・と驚いていました。

二人がこうして組むことになるのは運命だったのではと思わせるお話。聞いていたあおいさん(美風舞良さん)は「鳥肌が立った」と話されていました。

まどかちゃんは、真風さんと組んでいた時からとっても可愛くて、ザ ・トップ娘役として輝いていました。でも、れいちゃんの隣にいるまどかちゃんはちょっと違う。どう違うのかと随分考えたのですが、コケティッシュな魅力が加わったのかなと。

やんちゃなリアル男子感のあるれいちゃんの隣にいるまどかちゃんは、ちょっと大人っぽくちょっとセクシー。なんだろう。旦那が変わるとまた違った魅力が引き出されるのね。まどかちゃんが羨ましい。(←)でも、まどかちゃんが出来る娘役だからこそなのよね。羨ましがるのもおこがましいってことです。

お芝居最後の二人のラブラブっぷりときたら。あの辺りの演技はれいちゃんのアドリブもあるのかなと想像。お稽古場での貴矢先生はストライクゾーンが広いということなので、アドリブを許さないというウエクミ先生とは真逆な感じかな。

れいちゃんのラブシーン?は男役芸というよりはリアル男子の様で、観ている側は少し小っ恥ずかしいのだけど、まどかちゃんはキュンキュンしているのかな?真風さんとはまた違うトキメキ?と余計なことを考えてしまいました。

和物と思って観ていたらいちゃつきお芝居も現代風だし、実は真新しいラブファンタジーでした。そして物語だけでなく視覚的にもとてもお洒落で、舞台セット・映像・照明・衣装の全てが効果的にこの物語の世界観を作り上げていました。

特にまどかちゃん演じるキラの衣装が、どれもこれもがとっっっても素敵で目が忙しかったです。お衣装に合わせて髪型もロング・ショート・髪色や飾りも多彩。またどの衣装・カツラも全部似合わせてしまうまどかちゃんの素晴らしさ!Graph誌などでファッション誌がら飛び出た様なポートを見せてくれるれいちゃんについては言わずもがな。今後も作品ごとにビジュアルが楽しみなコンビです。

音くり寿ちゃんと平和な幕引き

忠臣蔵ファンタジー”ということで架空の国際都市に生きる登場人物の名は皆カタカナ(お決まり)。とは言え”くり寿ちゃん=ツナヨシ”という配役は意外でした。

蓋を開ければ、常に犬のぬいぐるみを抱え可愛いけどちょっとワガママな少年将軍で、更には物語を治めるキーパーソン。これまでも個性的でキーとなるお役をたくさん演じてきたくり寿ちゃんならではのツナヨシでした。

でも少し、歌声が美しい娘役さんなだけにもったいないなと思ったのと、結構声を張る台詞があったので美声を潰してしまわないか心配でした。ショーではたくさん歌うので。

そして物語はツナヨシの采配によりハッピーに終結するのですが、ファンタジーが得意では無いはずが不覚にも感動してうるうるしてしまったのです。この世の争い事全てこう解決すれば良いのにと。忠臣蔵という血ナマグサイ話を基にこんなお洒落で心温まるファンタジーを生み出した貴矢先生にぎゃふんでした。

 

『The Fascination!』

 

花組誕生100周年を祝うグランドレビューということで、花組カラーのピンク一色のオープニングからこれまでの花組レビューへのオマージュの場面など、花組愛に満ちたレビュー。100周年と新トップお披露目のタブルでおめでたい、通常よりも10分長い1時間5分の上演時間もあっというまの豪華で贅沢なショーでした。これは生で観たかった・・・!

中村一徳先生のショーは好きです。たくさんの生徒さんが銀橋を渡ったりテンポの良い歌い継ぎがあったり、分かっていてもワクワクします。今回はいつも以上に上級生下級生多くのスターの活躍が見られ、それがまた感動的でした。

特に印象的だった場面を順に。

 

「すみれに捧げし歌」

この舞台を最後に退団する真鳳つぐみちゃん、れいちゃん、マイティ(水美舞斗さん)の同期だけの場面。花組95期はずいぶん長い間この3名だけでした。組本の3人写りも好きだったので寂しいです。

「ピアノ・ファンタジィ」

1988年に上演されたショーの再現なのにちっとも古くなくむしろ新しいと感じました。シンプルな衣装にシンプルな振りのロケット。(ほのかちゃん(聖乃あすかさん)が大劇場の舞台でひとり歌い踊る姿に、大きくなったと感動・・・!)男役の白燕尾に娘役の燕尾ダルマの美しいこと。シンプルだけどちょっと不思議な振り付けが新鮮。難しそうなリフトも派手さはないのに衣装がシンプルだからかシルエットが美しい。れいちゃん、マイティ、ひとこちゃん(永久輝せあさん)3人の場面はそれぞれの持ち味の違いが見られて興味深い。専門的なことは分からないけど、強いて特徴を言えば(印象)、れいちゃんはのびのび、マイティはキレキレ、ひとこちゃんは軸ブレない、って感じでしょうか(語彙力)。私にはひとこちゃんのダンスが一番キレイに映りました。

この場面で最もテンションが上がったのはまどかちゃんの美しさです。シンプルな燕尾ダルマ姿のまどかちゃんがひとりで舞台に出た時の輝きが凄かった。まどかちゃんのスタイルの良さは以前から思っていたけど、改めてくっきりと見られました。細すぎなく曲線美があり頭の形がキレイで全体にバランスが良い。何を着ても似合う訳です。前回の大劇場公演「アナスタシア」では最初は地味な衣装でもとても可愛く、その後の凛としたドレス姿は気品に溢れていました。そして今公演の多彩なお衣装の数々。これからもまだ新しい魅力に出会えると思うと楽しみでならないです。

「心の翼」

全員歌唱が熱かったです。汗なのか涙なのかわからないくらいお顔をぐしょぐしょにしていた生徒も多く、涙なしでは観られませんでした。曲の終わりと同時にまどかちゃんの瞳から涙がごぼれ落ちた様に見えました。

エーデルワイス

飛龍つかさくんと星空美咲ちゃんから始まりました。美咲ちゃん、耳馴染みの良い綺麗な歌声。長身で舞台映えのする大人っぽい雰囲気の娘役さん。表情の硬さが取れてメイク技術が向上すればきっともっと素敵に。楽しみです。

次に花組が誇る美声のびっくちゃん(羽立光来さん)からしいちゃん(和海しょう)へ、長年ずっと一緒の同期二人の歌い継ぎにグッときました。

そしてダルマ姿のまどかちゃんと下級生娘役さんのエイトシャルマンが登場。「サンテ!」でのゆきちゃん(仙名彩世さん)と上級生娘役によるエイトシャルマンがカッコ良すぎて身震いする感じでしたが、こちらのは目を細めて観てしまう。まどかちゃんが可愛いのに程よくセクシーでやっぱりひときわ輝いていました。

「情熱の花」

賑やかな歌い継ぎでした。まず音くり寿ちゃんセンターで娘役さん達を引き連れての登場に感動。今まで以上にとっても可愛く艶やかなくり寿ちゃんに釘付けでした。この後くり寿ちゃんだけ残って同期のほのかちゃんが登場。お互いが娘役と男役としてとても引き立て合っていて、下級生だと思っていた二人の立派な姿にまた感動。特にほのかちゃんはこの公演でグッと男役どが増した感じがしました。

そして退団者と組長さおりさん達からのひとこちゃん(やっぱりステキ)、マイティ(マイティスマイル最強)、全員ととにかく賑やか。一徳先生のこういう流れが大好きです。

銀橋にひとこちゃんとマイティが出ていた時後ろの本舞台では美羽愛ちゃんがとても目立っていました。明るい笑顔が魅力的な娘役さんだなと。『元禄ー』の新人公演ヒロインを見たかったです。スカイステージでの放送があれば良いのですが。

 

宙組から花組へ来てくれたお二人

あおいさんとまどかちゃんのお二人を花組で観ることには、正直まだ不思議な感じがあります。あおいさんは宙組発足時メンバーとして長く在籍し副組長として組を引っ張ってきた大きな存在です。宙組愛に溢れていた方です。まどかちゃんは配属直後から沢山ヒロインをしてきたし何より3年間も宙組トップ娘役として活躍してきました。真風さんとの並びも好きでした。だから、今花組生として活躍するお二人を見るとき、ちょっとですが胸がチクリとするのです。宙組の何者でもないのですが。

でも、れいちゃんとまどかちゃんの相性が想像以上に良さそうだし、二人の新たな魅力が見られるのは嬉しいこと。そして宙組の新トップコンビもまた同じで、そのことが何よりも救いです。花組でもあおいさんの歌声は変わらずひときわ美しく、宙組の素晴らしいコーラスの秘訣?を花組にも伝授いただき歌唱力の底上げを期待したいです。

花組の何者でもないですが、組替えして来てくださりありがとうございます。

 

マイティについて

配信ですがこの公演を見て、マイティは間違いなく二番手として輝いていました。

こういう話は推測するしかなく答えのわかることでもないのですが、つい真剣に考えちゃう。考えました。

今回いわゆる二番手羽のお披露目が無かったことは、何もネガティブな理由からではないのではと思いました。

一つ前の花組公演で、長年マイティもその背中を追いかけ慕ってきたあきらこと瀬戸かずやさんが、退団公演にして二番手羽姿の初お披露目でした。あきらはみりおちゃん(明日海りおさん)トップ時代かられいちゃんのトップ就任後までずっと、花組の上級生男役としてみんなを引っ張ってきた存在です。みりおちゃんも一個下のあきらをとても頼りにしていたと、退団前にGraphなどで話していました。

そして、この花組公演の次の月組公演で二番手羽を大劇場でお披露目するのがちなつちゃん(鳳月杏さん)です。みりおちゃんトップ時代に月組から組替えで来たちなつちゃんのバウ初主演公演でマイティは二番手でした(ヒロインなし)。その後も二人の関係はとても近かったように感じます。ちなつちゃんは再び月組へ組替えしたまきち(珠城りょうさん)、れいこちゃん(月城かなとさん)と二人の下級生トップをサポートする大きな存在だと思います。

同じ時代に一緒に花組で活躍してきたお二人との兼ね合いもあるのかなと推測します。(何なら、マイティが新人公演初主演した公演から二番手羽を背負っているキキちゃんもいます。。。)

そして今公演は花組100周年記念、新トップコンビのお披露目と既に2つも大きな目玉があるので、マイティのお披露目は次の公演にとっておこう、なんて思惑もあったり・・・と推測します。

まだこの先に楽しみなことがひとつでも多くある方が良いとも思えなくはないです。

マイティを応援します。