組カラーは燻銀 〜月組大劇場公演『今夜、ロマンス劇場で』『Full Swing!』を観て〜
月組宝塚大劇場公演『今夜、ロマンス劇場で』『Full Swing!』千秋楽のライブ配信を観ました。
まずは、大劇場全日程を完走できて良かった!!おめでとうございます!!
れいこちゃん(月城かなとさん)・うみちゃん(海乃美月さん)新トップコンビのお披露目公演でもありました。本当におめでたい。
今日の配信が初見でしたが、これがお披露目公演??と思うくらいレベルの高い公演で驚きました。新トップコンビの安定感や相性の良さは既に分かっていたのですが、お二人を支える月組全体の力に驚かされました。組子一人一人にしっかり力があり皆が生き生きとしていました。
通常はトップさん代替わりと同時に組全体が若返るので、お披露目公演は色んな意味でぎこちなさを感じることがあります。今回の月組で言えば、前トップコンビの退団と同時に7名退団、また月組の象徴のような上級生の男役ゆりちゃん(紫門ゆりやさん)とまゆぽん(輝月ゆうまさん)が専科へ異動。その後、娘役の詩ちづるちゃんが星組へ、雪組から彩みちるちゃんが加わりました。組全体として大きな変化です。
でも、今日私が見た新生月組は既に抜群の安定感があって今後がさらに楽しみになりました。
『今夜、ロマンス劇場で』
原作映画の世界観そのままに宝塚大劇場公演で上演するミュージカルとして上手く変換されていたと思います。ます。
でもでも、原作を知っている作品だとこうなることが多いのですが、原作の方が感動した。。
これは致し方ないです。ストーリーを知っていると驚きや感動は薄れるものです。
加えて、今回は配信での観劇でした。
原作ものの舞台化、さらには宝塚の大劇場公演作品にするのは色々と制約がある為、ストーリー面ではどうしても原作より物足りなく感じるもの(と思う)。一方で、舞台ならではの華やかな演出と臨場感が楽しいのが宝塚ですが、配信だとその良さを体感できません。
宝塚に関しては絶対的に生で観た方が良いに決まっています。
物語の世界観にぴったりな数々の音楽、スクリーンに映し出されるモノクロ映画が舞台上に展開される演出、芝居上手な月組生達のコミカルな場面、、、生で観られたらもっとずっと良かったのだろうな。
以下細かな感想
- 映画を観て一番好きだった”俊藤龍之介”役を演じたちなつちゃん(鳳月杏さん)は期待以上の好演。北村一輝さん同様に強烈な存在感で笑いをさらいつつ男役のかっこよさも際立っていました。ちなつさんに任せて安心、絶対に期待を裏切りません!
- 俊藤の付き人たち(彩音星凪くんだけ分かりました)の「勉強させてもらいます!」の揃いっぷりがお見事で笑いました。撮影所のシーンは楽しくお正月公演にぴったりでした◎
- 映画に比べて残念に感じた主な要因として、特に感動的だった場面が無くなっていたりさらっとしすぎていた。1.美雪が健司に秘密を打ち明ける場面 2.電話ボックス越のキス 3.貸切のロマンス劇場で二人が向き合う場面。どれも映画で大号泣場面でした。ありちゃん(暁千星さん)のお役の新設定がある都合や大劇場でやるミュージカルに長尺のお芝居は入れにくいとか(?)、仕方ないかなとは思います。明るく軽めな仕上がりは小柳先生の大劇場作品の特徴かも知れません。”大劇場公演”という点が大きいのかも。
- 好みの問題ですが、美雪の衣装がモノクロのドレス以外はあまり素敵に思えませんでした。映画の綾瀬はるかさん演じる美雪の衣装はどれも素敵で大好きだったので期待し過ぎたのかも。みちるちゃん演じる塔子の衣装の方が好みでした。ヒロインはテカテカ素材じゃないと舞台映えしないのでしょうか。
- ありちゃん、おだちん(風間柚乃さん)、みちるちゃんは主要キャストにしては活躍が少なめに感じました。モノクロ映画の登場人物、大蛇丸や三獣士たちはイケメンが隠れてしまって残念。これも原作ものを宝塚で上演する難しさですね。
”映画との比較で”残念に感じてしまうのが原作ものの難しいところですね。
作品が発表された時点でまだ原作を知らない場合は”予習”をしないと心に決めています。
『 Full Swing!』
噂に聞いていた口ずさみにくい&手拍子しにくい主題歌。その通りでしたが私は好きでした。何より、この難しい主題歌を素敵に歌いこなす月組生達に拍手拍手です。
オープニングの衣装も中々難しいゴールドのトレンチコート。トップれいこちゃんと二番手ちなつちゃんは分かるのですが、ありちゃんやおだちんまでもが似合ってしまうという。大人な雰囲気で安定感のあるスターが揃う今の月組を存分に堪能できるオシャレなショーでした。(アイドル場面が無かったのが◎)
宝塚の、特に約80名が出演する大劇場のショーを観るには目が二つでは足りません。
れいこちゃん&うみちゃんのお披露目だし二人を中心に観たいと思いつつ、後ろで踊る下級生たちに目を奪われてしまう。こんな場面が多くて疲れました。
特に今回視線ドロボーだったのは”うーちゃん”こと”英かおとくん”。
素化粧のうーちゃんは色白で涼やかな顔立ち。スラリと長身で爽やかな青年という印象。これまでの印象的なお役もそんなイメージ。
ところが今回ショーでいちいち目に入り込んでくるうーちゃんは、渋かった!!キラキラとかギラギラでもなく、渋かっこいい。ちょっとダークな表情も良きです。
しかも今まで気づかなかったのですが、ダンスも芯がしっかりとしていて素敵じゃないですか!バランス良い長身なので元々舞台映えするタイプだなと思ってはいたのですが、持って生まれた美貌だけでない”武器”も身につけたのでしょうか。”見せ方”だとか”色気”でしょうか。
今後も要注目です。お芝居ではダークなお役も是非見てみたいなと思いました。
他にも彩音星凪くんや礼華はるくんもとても良い表情で踊っていて、やはり渋めだなと。
月組を観るときは必ず追ってしまうれんこん(蓮つかささん)が休演だったのが残念です。
れいこちゃんを筆頭に、ちなつちゃん、ありちゃん、おだちんまでも、見事に落ち着いた大人な雰囲気のスターが揃う今の月組が好き!と感じたショーでした。
ありちゃんとあみちゃん
この公演中に星組への組替えが発表されたありちゃん。
ずっと可愛く大人しいイメージだったけど、『ダルレークの恋』を観たときにグッと男役度が増していて驚いたのと同時に、あぁあの可愛かったありちゃんが・・・とちょっと淋しくもなったっけ。最近では銀橋に出ても余裕ある表情で静かな”きざり”を見せるありちゃんが好きでした。星組に行ったら熱い”きざり”に変わるのかしら。
淋しい気持ちはあるけれど、ことちゃん(礼真琴さん)の星組でありちゃんの良さが存分に発揮されるのもまた楽しみでもあります。
まだ東京公演の後に東上公演が控えています。楽しみです。
そして、ありちゃんの月組最後の公演から合流することになっているあみちゃん(彩海せらさん)。
あみちゃんが大好きなので、ますますこれからの月組を観ないわけにはいきません。
よくキラキラと言われるあみちゃんですが、個人的には以前から抑えたお芝居が見たいと思っていました。れいこちゃん率いる月組でのあみちゃんも、楽しみでしかないです。